静岡県にある文学碑

                                      監 修  大町芳章氏 


浜松市北区三ケ日町
  
        
  布団から あたまだけだす 初日かな   桂月
  
        大町先生館に泊り 近く湖水愛しかな・・


 



〜 琴水旅館からみる浜名湖 〜

 桂月は、大正3年12月静岡県三ケ日町(現 浜松市北区三ケ日町)へ出向き、正月を都築(つづき)の湖月旅館で過ごしました。
 そして、大正4年
1月から3月まで湖月旅館に滞在し、宿の主人と浜名湖周辺を探勝しています。

 碑には、大正4年元旦に詠んだ句が刻字されています。


 紀行文「 春の浜名湖 」に湖月館について次のように書かれています。
 ・・(略)・・
  
都筑の浜は冬暖か也。南と東とは湖に面して、日の出を観るに宜しく、月を観るに最も宜し。湖月館の名虚(むなし)しからず。殊に都筑の村里は月山に隔(へだ)たりて、隣れる家なく、夜に入りては絶えて人籟(じんらい)なく、欄干の外、澄波一碧、・・・湖山夢の如く、明月得ん擔牙(えんが)にかかりて、我に向かって語らんとす。・・(略)・・ 」

 また、都筑については
「・・(略)・・
 
都筑は農村なるが、姫街道を挟んで小市街を成し、物売る店あり。・・(略)・・」

「 浜名湖は湾入多く、支湖も少なからざるが、ざっと形容すれば、手をひろげたるが如し。
手首は今切也。
 ・・(略)・・
都筑は、中指の根元にありて、舘山と東西相対す。
・・(略)・・ 」


 碑は、琴水旅館 玄関側の石積壁上にあります。

 桂月が宿泊した湖月旅館は、現在は琴水旅館となっています。
琴水旅館は、映画監督 今井昌平もたびたび滞在されていました。
 碑は、昭和43年、桂月滞在を記念して建立されました。